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代表の思い

『囲柱ラーメン木構造』と中小企業としての(有)ライン工業の思い

有限会社ライン工業 代表取締役
囲柱ラーメン木構造開発者 瀧本 実

私は、有限会社ライン工業へ入社する前から「木造」に興味を抱き、ぬくもり・保湿性・加工性など「木」の優れた性能・効能に魅了されておりました。
ある日、私は戸建ての従来木造の平面図を前にして、柱と梁が直行する部分を凝視していました。大きな空間構成の戸建てを設計したいという思いを持って。ふと、在来柱の脇に別の柱が立てられるスペースがあるのを見つけました。4隅とも同じ条件で、2階へも3階へも通すことが出来ます。私は頭の中を整理し、紙面へ殴り書きして、スケッチしては消して、消してはまたスケッチして・・を繰り返しておりました。こうして『囲柱ラーメン木構造』が生まれました。
ライン工業へ入社してからは試作を繰り返し、代表を継いで3年目の今、 事業化に向けプロジェクトチームを立ち上げ、本業の鉄工所と共に商材として世に送り出そうと実践に移行しているところでございます。

なぜ、我々のような小さな会社が新たな木造建築構法の開発と事業化に取り組んでいるのか?
『囲柱』のひらめきは、経営者となった私の「なぜ?私はその仕事をしているのか」という問いへの気づきをも与えてくれるプロジェクトなのではないかと考えるようになりました。

私はこの新構法を成果物としてマーケットに提供し、マーケットを拡大する手段として広く皆様に使って頂く様にするためには、当社の発明だけに発する自前主義では解決できない問題があることに気づきました。

『囲柱ラーメン木構造』は、鉄骨造に劣らない興味を持ち、都市に必要な開放感があってコストパフォーマンスの高い中低層木造ビルをスピーディーに建てる事ができます。そしてそのビルの構造材には地域の無垢材をふんだんに使うことができます。木材をそのままの形で近くの都市に移動できる、つまり都市に森を作つくれるのです。そして炭素を蓄積しやすくなり、建設時、運用時、廃棄時というライフサイクルにおいて、CO2の収支をマイナスにすることも可能です。人が木に求める木材本来のぬくもりや香り、住環境の調整機能という特性を損なう事もありません。『囲柱ラーメン木構造』は、産業にとっても、人間にとっても、余計な手間を省いたムリやムダのない木造構法であると言えます。

なぜムリやムダがないのか、その理由は、当構法は中低層木造ビル建設の「設計→材料供給→建設」の流れを販売システム化させやすいという点にあります。

構造体は工場生産できます。規格化された無垢の木材を組み合わせることができるので生産システム化されやすい利点があり、林産の分野にとっても生産予測が立てやすい商品です。素材を加工する新たな施設を建てる必要もなく、山側に安い材料の供給だけを求めません。無垢材だけでなく集成材も含め、それぞれの価値に応じて取引されたさまざまな質の木材を「意味ある形」で「適材適所」に使うことができます。
材料は今まさに変革の過程にある「国産の木材」であり、安定供給にはまだムラが生じています。凡用性の高い『囲柱ラーメン木構造』の木使いは、そのムラを吸収するダンパーとしての機能も備えております。しかしその機能を発揮するには、素材生産の林業関係者と木材加工者、建築士、建設業界から消費者まで、共通認識を持たれた方々との協働が不可欠です。
協働の中では、我々が皆様にお伝えし解決していくべき利益の仕組み問題が次々と生まれると考えられます。そこでサプライチェーンの競争優位性を確保するために協働の整備が不可欠になります。

中小企業の我々が初期協働のネットワークオーガナイザーとして「在庫、需要、リードタイム、コスト構造、技術的ノウハウ」などの情報共有を行い、問題を発見し、協働を最適化すれば、『囲柱ラーメン木構造のサプライチェーンの性質と目的』は明確なまま保たれるでしょう。
そして「利益のしくみ問題」をクリアした「協働のビジネスモデル」をますます発進させる。さらには、多くの方々にこのプロジェクトから発生するさまざまな成果に期待して自発的にサプライチェーンの形成に参加して頂く。

そのように推進して初めて、我々のプロジェクトは「新しい木構造」としてだけでなく、「協働」そのものが世の中に必要とされ、意味を持つのではないかと考えます。